児童生徒が学級で意見を言わない理由

学級経営

児童生徒が学級の話し合いや,意見を出し合う授業中でなかなか意見を言わないということで困っている先生は多いのではないでしょうか?わたしもその1人です。

今回はなぜ児童生徒が学級で意見を言わないのかを考え,生徒から聞いた思いも紹介していきたいと思います。

意見を言わない理由は2種類

自分の考えを持っていないから発言できない

考えるための知識がなかったり,教師の質問の意図がわからなかったりすることが原因になります。この場合は,知識を机間指導などを活用して個別に指導し,その子に応じた指導をしていくことで解決できることがあります。また,教師の質問の仕方が悪い場合もあり,自分の指導力を上げることで解決することがあります。

自分の考えを持っているのに発言ができない・しない

自分の考えを持っていないから発言できない場合と比較して,深刻な問題であり,自分の考えを持っているのに発言できない・しないということです。発言できるのにも関わらず,なんらかの原因があり,発言することを拒んでいるからです。そして,その原因は簡単に取り除いたり,今すぐに変わるものではなく,その学級の雰囲気として根付いてしまっているものの可能性が高く,改善していくためには大きな労力がかかります。しかし,何も策を講じないのは事態を悪化させることや,頑張っている一部の児童生徒が教師に対して不信感を抱く原因にもなりますから,対策は必須です。

自分の考えを持っているのに話さない理由

失敗が怖い

答えが決まっているような問題でも,なかなか失敗を恐れて発言ができません。失敗した時の学級の空気感や失敗した時周りにどう思われているのかが気になっているのです。小学校から教師が主導で失敗する経験が圧倒的に少なくしていることが原因の1つになっているかもしれません。できるだけ自己肯定感を上げるためにも成功体験を積ませますが,その成功体験の積み重ねこそが失敗への恐れになっている側面があることを理解する必要があります。特に,答えがないような話し合いや,議論する場面では自分の発言に対して周り(教師も含め)がどう感じるのかを考えてしまいます。今までなんとなく成功してきたので,これから,盛大に失敗してそれを学級として許容することが当たり前になる空気感や,失敗したけどチャレンジしたことがすごいという雰囲気を作っていかなければなりません。

グループ作業が多い

グループ作業は意見を出す際にはとても有効です。少人数だからこそ,意見が言いやすく,大きな集団となった時にもこの意見ではなく,小集団の意見として発言できることから安心感を持って発言できるからです。

しかし,小集団で話し合うことばかりしていると,小集団の話し合いでも無意識に忖度が始まり,本心を話せなくなってしまう恐れがあるということが起こり得ます。小集団の中で自分だけ浮きたくないという心理からです。また違う意見を言ったとしても小集団としての意見を述べる時には,マイノリティの意見は無かったことになってしまい,自分の意見を言わなくても議論が進んでしまうということが起こると,自らが思った意見を正直に話そうとする思いは無くなっていってしまいます

大人が叱りすぎ

児童生徒が何かに挑戦したり,良かれと思ってやったことに対して,それがあまり良く無かった場合(誰かに迷惑をかけてしまったりなど),必要以上に叱る場合があります。その子にとっては良かれと思って行ったことなのに,失敗したからと言って叱り過ぎてしまうと,周りからの視線もあるので,挑戦することをやめていく子に育っていきます。挑戦したり,自ら動いたりすることによって起こるリスクをわざわざおうことなく,”言われたことをきちんとこなせばいいや”とマインドが変わり,自分から考えて行動するということができなくなってしまいます。すると,負のサイクルにはまっていきます。

発言する価値が見出せない

議論も第3者の立ち位置から見ている限り,”別にわたしが言わなくてもいいよね” と考える児童生徒が増えます。特に「学級の課題に対してどのようにしていくとよいか」などを話し合う時は顕著です。当事者意識が生まれていない限り,その議論は自分には関係ないと感じてしまい,何か感じたことや思ったことがあっても,言わなくてもいいやというマインドが働いてしまいます。

生徒の思い

何人かの生徒に「なんで意見を持っているのに言わないことあるの??」と何気なく聞いたことがあります。そこで言われたのは,

・みんなと違うこと言った時に後で何か言われるのが嫌だもん。
・恥ずかしいとかはないんだけど,今いう必要があるのかなって。
・発言力の強い子の後にはなかなか言えないよ。
・正しい答えがあるならいいけど,考えとか答えがはっきりしないことは言いにくいかな。

とのことでした。学級の環境でなかなか言えない空気感があったり,答えがはっきりしないオープンな質問に対してなかなかいうことができないということがわかりました。もちろん,その子の感覚なので,皆がそう思っているわけではないでしょうが,そのように思っている児童生徒はいるということは知っておくと対応が変わってきます。

何から変えていくと良いか

学級づくり

発言しない学級にならないためにも,まず,学級作りの段階から意識して指導していくことがあります。それは,

発言することが意思表明であり,発言することが相手にとって礼儀である

ということです。日本人はサイレントマジョリティーという言葉通りで,なかなか質問などの時間でも自分の意見を言おうとしません。むしろ,発言すると ”少し変わっているな” と思うくらいに感じる空気感の時もあるくらいです。そういった環境を学級の中で作らせないためにも丁寧な指導をしていくことが必要です。発言した人に対してその価値を認めたり,頑張った児童生徒には褒めるなど地道な指導が大切です。

当事者意識を持たせる

「意見がある人?」と聞くと,なかなか手が上がりません。これは当事者意識が弱く,「まあ誰か答えてくれるだろう」という心理が働いてしまっています。すると,第3者的なポジションから教師の発問を聞くため,自ら積極的に考えたり,その考えを発言したりしなくなってしまいます。

それを避けるために,賛否はありますが,「〇〇さんどう思う?」と聞くようにします。急な指名でドキッとすることで,「自分も考えないと…」というマインドが働きます。すると当事者意識を持って様々なことを考え,そして意見を言える場が出来上がっていきます。

あるのすけ
あるのすけ

もちろん,意図なしに急に当てることはしません。机間指導などを通して,事前に当てるようなことを仄めかしておいてから当てるようにします。あとはその生徒の実態に応じて臨機応変に当てていくという感じです。

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