生徒に自信をつけさせるために

学級経営

わたしの学校では、学校生活アンケートを実施しています。その中に、「自分に自信がありますか」という項目があります。これに対して、「自分に自信がない」と答える生徒が数%います。さらに、「自分には良いところがありますか」の質問に対しては、「ない」と答える生徒が1割ほどいます

自信があるように立ち振る舞っている児童生徒でも、本心では自信がなく、ない故に、がむしゃらに頑張っているということがあるのではないでしょうか。

今回は、そんな自信をなかなか持てない児童生徒にどのように、自信をつけていくと良いのかを考えていきましょう!

あるのすけ
あるのすけ

自信を持たせる教育などと、言いますが、具体的にどんなこと?と思ったことはないでしょうか。わたしなりの実践を紹介しますので、参考になれば幸いです。

失敗した時の考え方

何かに挑戦すれば、何かに失敗することはあります。大人でも失敗を恐れるのですから、子供も失敗を恐れるはずです。失敗することは悪くないことが多いのです。しかし、失敗した時の考え方1つで、失敗が怖くなるか、まあいいかと楽観的に思えるかの違いが出てきます。

具体的には、失敗した時にどのような原因で失敗したのかという、原因帰属の仕方が大切ということです。ワイナーの原因帰属理論によると、

失敗の原因をどう分類するかで、失敗後の学びや考え方を大きく変え、より成長につながる考え方にすることができます。

例えば、
授業中に発言を求められたが、自分にはその課題の意味がわかっていなかった。
しかし、発言を求められてしまったため、適当に答えた(または、何も話せなかった)。
その答えられなかった原因は何か、自分の『能力のせい』か、学習への『努力が足りないせい』か、または、『課題が難しすぎたせい』か、適当に答えたけど当たらなかった『運がなかったせい』か。

失敗の原因には、自分に対して要因があると考えるか、自分の外のことに対して要因があると考えるかで、その失敗に対する考え方や、受け止め方が変わります。特に自分の『能力』や『努力』に対していつも帰属させてしまう児童生徒は失敗を、極端に恐れ、挑戦することができなくなってしまいます。だからこそ、失敗した時の声かけは、「惜しかったね」ではまずいということです。「運がなかったんだよ」や「課題が難しすぎたんだよ」といった外的な要因に持っていく必要があります

この指導は、まさに、個に応じた指導となるわけですが、失敗した時にどう考えていくと良いか、児童生徒はわからず、とにかく自分の中(内的)に要因があると考えてしまいます。もちろん、内的な要因がある場合もありますが、抱え込みすぎて失敗を恐れている児童生徒が、少しでも挑戦できる環境を作りたいのであれば、上記のような声かけが必要になるはずです。

「頑張れ」だけでは頑張れない

「頑張れ!」という言葉はよく児童生徒にかけます。励ましたり、頑張らせたい時にとても有効な一言ですから。しかし、この「頑張れ」が逆方向に働いてしまう場合があることも知った上で、使う必要があります。

例①
ある活動を一生懸命頑張っている児童Aがいます。でも後少しでできないということがあります。児童Aは全力で頑張っているにも関わらず、なかなかうまくいきません。少し諦めかけてきた、その時先生から「頑張れ!」の一言があり、諦めず取り組むことができ、結果成功へとつながる指導になりました。

例②
ある活動を一生懸命頑張っている児童Bがいます。しかし、一向にできるようになりません。どれだけ頑張ってもできる気がしません。「頑張っているのに…なんで」と心で思っているときに、先生から「頑張れ!」の一言があり、励まされているのか、焦らされているのかわからなくなって、もう活動をしたくなくなりました。

例①のように、「頑張れ!」の声が、+にはたらく場合もあれば、例②のように、ーにはたらく場合もあります。例②の児童は、頑張っているのにできない自分を「頑張れ!」の一言でさらにプレッシャーがかかり、やる気が下がってしまっています。すると、児童Bは自分の能力が低いと思い、何にも挑戦しようという意欲が湧かないようになってしまいます。

これは極端な例ですが、不登校の児童生徒、低学力な児童生徒、ハンディを持っている児童生徒、… 励ましたつもりになって、実はその子のやる気や自信を奪ってしまってしまうこともあることを十分認識して、然るべき声かけをしなければなりません。

成功体験を教師主導でも増やしてあげる

自信をつけるためには「できた!」と思える経験が必須です。できないことに対して「自信があります」という人はいないでしょう。

あるのすけ
あるのすけ

明らかにできないことに対しても、自信があるといっている子も中にはいますがね…(笑)

つまり、自信をつけるためにはとにかく成功体験を積み重ねることが大切なのです。
「え、こんなことで!?」ということでいいのです。日常の小さな頑張りを認め、そこにある価値を伝え続けるのです。これが、自信をつけるための1歩です。

さらに、生徒主導で成功体験を増やしてあげることで、新たな自分を知ることができ、自信をよりつけることができます。例えば、学級委員に立候補などです。組織決めの中で、一番初めに決める学級委員。高学年や中学校になってくると、学級委員に立候補する児童生徒は固定化していきます。確かに、学級委員はある程度、学校生活の中でお手本的な存在であることが相応しいとの認識もありますが、わたしはあえて、違う児童生徒を選出できるように指導します。根回しをたくさんします(笑)こうすることで、今までとは違う立場で色々なことを経験しながら、頑張る姿が必然的に増えます。だからこそ、先生からも学級の仲間からも認められる場が多くなります。そうやって、先生が主導し、あえて成功体験ができる環境を整えていくことで、今までにない自信を持てたと実感する児童生徒を育成できます。

自分の強みは何か考えさせる

これはわたしもよく考えさせられる内容です(笑)”自分の強み”は何かは自分に自信を持つためには、必要なことだと考えます。よく、”自分の課題を見つめ直そう” ということは学活などの時間で行います。しかし、その逆のことはなかなか授業で扱いません。”自分の弱み” だと思っている部分が、見方を変ええれば実は ”強み” であることは大いにあることです。だからこそ、児童生徒が自分と向き合う時間を作り、自分について知る過程で、”強み” を知っていくことで、徐々に自信を持つことができるようになります。

森岡毅さんの著書『苦しかったときの話をしようか』で、自分の強みをどう知るかの方法が書かれています。その方法は、”自分が今まで何をしてきた時ワクワクしたかを動詞で書く”です。動詞で書くことで、自分の具体的な動きや、その時の感情などを思い出すことができ、そして、それがその子の ”強みの分析” となるのです。ひいては、キャリア教育にもつながることになります。

まとめ

・失敗した時に原因帰属を”能力”に持っていくことで自信がなくなる
 →原因帰属を別の領域へ意識を向けさせるような指導も必要
・「頑張れ」ではなく、「できた」の声かけ
・小さな成功体験を増やす
・自分の強みを、何をしている時がワクワクしたかから考えさせる

あるのすけ
あるのすけ

これらのポイントをおさえていくためにも、まずは単純に児童生徒とたくさん関わらないといけませんね。また、特定の子にばかり偏らない配慮なども。

では!

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