部活動の断り方

効率化

こんにちは あるのすけ です。

「部活動しんどくないですか?」
わたしはしんどくて仕方なかったです。せっかくの土日も潰れる、また平日も時間外勤務が当たり前となるそんな部活動の断り方をまとめてみました。

あるのすけ
あるのすけ

来年度部活動を持ちたくない人はぜひ参考にしてみてください!

さて、部活動を取り巻く働き方の問題点について、SNSなどを中心によく話題となっています。
もちろん部活動の教育的意義のようなものについては理解できないわけではありません。
しかし部活動は、あまりにも劣悪な労働環境であり、先生としてのやりがいを搾取し、土日や祝日など本来休むべき日も休めない状況となる劣悪なボランティアです。もちろん「部活動やりたい!」と思っている先生もいますが、そうでない人からしてみれば地獄です。

部活動に対する現在の考え方

部活動は令和5年度から段階的に外部への委託をしていくとの答申が文部科学省から出されています。

現在令和3年度ということもあり、そろそろ移行にあたって本格的に動き始める頃です。
しかし、地域に人材がいないことや予算的に厳しいことを鑑みると、令和5年度から部活をやらなくてもいいということではなさそうです。段階的移行というもののタイムスケジュール感が伝わりませんから、間延びしてしまうことが予想されます。特に現状部活動に力を入れているとされている学校など。学校長がどの程度の理解を示してくれるのか、その地区の教育委員会がどう判断するのかで働き方に大きな差が生まれます。
そもそも、いまだに部活動に強制参加させている学校(わたしの勤務校)もあります。すべての生徒がどこかの部活動に入部させられているということです。もはや自主的な活動ではありませんね(笑)

しかし、中・高体連の制度のような部活を取り巻く環境のハード面の調整がなかなか進んでいないと感じています。中体連の役員をやらされていましたから、内部事情は多少把握しています。部活をやりたいという役員の声がやはり大きく、やらないという選択や柔軟な大会運営ができるような提案をすることは子どものためではないと意見が上がってしまいます
体連側からすると、スポンサーとして有名な企業がついていますから、なんとか成果を上げることが必要になるためなかなか現状の制度を改変することができない(したくない?)のです。利権が絡んでいますから……

そして中・高体連の各大会の各競技の会長や部長と呼ばれる立場には学校長がなっていることが多いです。従って、一教員が制度の問題点に関して騒いだところで何もできません。
だからこそ、部活動自体を断り、部活動フリーな働く環境をあなた自身で手に入れなければなりません。

部活動の位置付けの考え方

部活動は教育課程外の活動です。この立ち位置はとても重要です。

実際に学習指導要領を確認すると、

平成29年度版中学校学習指導要領保健体育編

部活動は、”学校教育の一環として行われる” との記載があります。そして、”教育課程外の様々な教育活動を教育課程と関連付けることは、生徒が多様な学びや経験をする場や自らの興味・関心を深く追究する機会などの充実につながる” とされています。

教育課程外と教育課程内の連携は確かに必要なこともあるとは思います。生徒を取り巻く環境はシームレスであり、明確な線を引くことはできないからです。ただ誤解してはならないのは、教育課程内だけでなく、教育課程外に関しての活動も教員として取り組んでいかねければならないとは言われてはいませんあくまで連携を図っていけば良いとのことです。運動部の例を見ても、どこで活動しているかなどを明記していません。クラブなのか地域のサークルなのか、ようは活動場所はなんでも良いのです。
ただ連携して生徒を指導できるのであればなんでも良いのです(目的に沿うならば)。

とはいえ、学校の中での活動がメインとなっている現状があります。

新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(中間まとめ)では、『部活動は学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務』に分類されています。

やらなくても良い業務に分類されているにもかかわらず、やろうとするのは余裕があったり、その業務をすることが好きなのであればいいですが、半ば強制的に従事させられるのは変です。

部活動の断り方

基本的に教員の業務ではないことがはっきりしたため、あとは断るだけです。断る時に大切なのは冷静に、様々な視点からアプローチしていくことです。①から順番に確認していきます。どこで学校長を納得させられるかです。そして必ずボイスレコードを忘れずに。ポケットに忍ばせ、いざという時の証拠としておくと安心です。

あるのすけ
あるのすけ

スマホのボイスレコード機能は結構クリアに記録できましたよ!

① 学校管理規則を確認し、自主的な活動であるかを問う

各市町村ごとなどに学校管理規則などがあります。地区ごとに内容は多少異なりますが、この学校管理規則に部活動のことが記載されている場合、学校長が教員に対して部活動の顧問を校務として教員に割り振ることが可能になってしまいます。ですから、まず自分の勤務校が所属する地区の学校管理規則を確認してみましょう。記載がなければ②へ。

また、学校管理規則に直接的に記載がなくとも、生徒の教育を司る教諭が部活動を行わないといけないという人もいると思います。大抵、指導要領などに ”部活動は学校教育の一環として” という文言があるためと言います。しかしながら、部活動の大前提は自主的に行われているかどうかです。その活動を業務の一環として位置付けてしまい、教諭に担当させようとするのは論理の飛躍があります。また、本気で部活動が学校教育の一環であるならば、それなりの責任が生じます。従って、部活動指導の初心者である教員に依頼するよりも、公式に整備され始めた、部活動指導員(スポーツ庁の資料)を活用すべきです。その予算がないのであれば部活動を行うことはできません。私たちはボランティア職員ではありませんからね。

② 部活動は超勤4項目でないことを確認後、業務遂行にかかる時間の検討

公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)によると、

ここでいう ”政令に定める基準” というのが以下の政令に記されています。

ここに記されている 二 の イ、ロ、ハ、二 がいわゆる超勤4項目と言われる項目です。
このことから、学校長は勤務時間を超えての命令はできません研修でも習いますよね。

その上で今自分に割り振られている校務分掌を確認しましょう。
例えば、部活動の時間が17:00まであったとします。多くの教員の勤務時間が8:00〜17:00の中であることを考えると、勤務時間内に校務を遂行することは現実的に不可能です。これは間接的に命令していることと同じです。「それは命令ですか?」と確認してみると良いでしょう。大抵「お願いです」としか言われません。「命令です」と言えばハラスメントですからね。

”お願い” するのであれば、こちらも “お願い” すれば良いのです。部活動顧問はできないという旨を。

③ 他業務の優先度を考慮した上での勤務時間内で行えるか確認

どのように働くことで校務分掌を勤務時間内に遂行できるのか相談し、その上でできないことを明確にし、「だから部活に従事することはできない」ことを明言しましょう。

何を優先すべきかは文部科学省から示されている教員としての業務は何かが記されている資料を使い、確認していくと良いでしょう。令和3年10月に判決がでた田中まさおさんの訴訟の判決文を見ると何を優先的に労働として行うと良いか考えることができるかもしれません。

いずれにせよ、校務分掌ですら勤務時間内に終えることは不可能なことは明らかですから、勤務時間内に校務分掌も部活動も終わらせることは不可能であるということです。
それは管理職としてのマネジメント不足が引き起こしたこととも言えますから、部活動を優先させるのであれば校務分掌の配分を再検討していただく形になります。ここも強く話す必要があります。

④ 勤務時間内の ”命令” は職務専念義務違反になることを確認

仮に教育課程外の活動である部活動を勤務時間内に行っていたとします。それは地方公務員法第30条で定められている職務に専念する義務違反になる可能性があります。

部活動が職務であるかどうかは①で確認し、職務でないのであれば勤務時間内に部活動を行うことは違法行為であることを説明しましょう。部活動が職務かどうかという論点は決着がついていないのが現状です。従って、学校長に職務であるかどうかの確認を行い、職務とは言い切れないとの結論を出させることができれば断るきっかけを作ることができるのです。例をあげると、

わたし
わたし

部活動はわたしが負わなくてはならない職務なのですか?

学校長
学校長

部活動は学校教育の一環として行われるのだから職務だ!

わたし
わたし

職務ということは命令ですか?

学校長
学校長

命令ではなくお願いだけど…

わたし
わたし

では職務ではないですよね?なぜ、果たすべき役割なのに命令ができないのでしょうか?
それは、部活動が職務であるということが間違っているからではないですか?
授業や学級経営などの職務はきちんと果たしますが、部活動は職務ではないのでわたしは果たす義務がありませんし、職務専念義務違反です。従って部活動の顧問は行いません。

最後に

部活動に強制的に従事させることは、学校管理規則に記載のない限りできないことですので、もしそのようなことがあれば、人事委員会などに報告することをおススメします。あくまでお願いはお願いであって、命令ではありません。履き違えている人は多いと思います。

また東野・小幡(2018)によると、

部活動を指導するほとんどの教員はスポーツ生理や救命救急等に関する事柄を学習せずに教員免許状を取得している

東野・小幡, 2018. 部活動中の事故と教師の責任論.

とあるように、職務の責任を問われかねない可能性もあります。
現に部活動中に起こった事故に関して、部活動顧問が責任を問われるといった裁判が過去に何度もありました。従って、部活動を行いたくない教員が、部活動を行うメリットは非常に小さいと感じます。教諭として何が職務であるのか問いただしていく必要があります。

一緒に教員として働きやすい環境をつくっていきましょう! では!

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