小学校の教員は毎日ほぼ全部の時間の授業を1人で行っています。中学校のときにあった空きコマがまったくない状況がなぜ起こってしまうのか、考えていきたいと思います。小学校の先生になってから気がついたとならないためにも、教採を受ける方にもぜひ参考にしていただけたらと思います。
中学校と小学校の授業数の違い
わたしの経験ですが、中学校の時は授業時数は ”週19〜21時間” でした。毎日2時間ほどの空き時間があり、この時間に校務分掌や各種書類の作成をしていました。ちなみに学年主任(担任外)の時数は15時間以内となっていたので、学年主任の先生は授業に関してはゆとりがあり、その分学年の経営に時間を割くことができると話していました。
一方小学校の授業時数は ”週27時間” とほぼ空きコマがありません。時たまある空き時間に宿題チェックや次の時間の準備をしたり、不登校児童の対応などをしているとあっという間になくなってしまいます。前日に次の日の準備をしていなければ授業ができませんから、とにかく忙しなく毎日が過ぎていきます。
所属する先生の数が小学校は少ない
先生の人数には定数がある
学校の先生の配置に関わる法律として、義務標準法があります。
例えば、小学校と中学校で各学年の学級数が4クラスずつだとします。すると、
小学校(全校24クラス) | 中学校(全校12クラス) |
教員数:約28人 | 教員数:約39人 |
このように配置される人数が決まります。完全教科担任制である中学校のほうが、配置される教員数が多いのは当然ですが、小学校に配置できる教員の数と学級数がほぼ同じであることから、小学校の教員がいかに多忙かがわかると思います。基本的に学級数に何をかけるかの数字の部分が改正されなければ(日本語指導や学級の人数に関する部分は多少改正があります)、教員の多忙さを人数で解消しようというのは難しいということです。
小学校に勤務するようになり、教員数が圧倒的に足りない状況があることに驚きました…ほとんどの先生が教室に行っていて職員室に誰もいないようなことがあることなんてよくあります…
必要な校務分掌はほぼ同じ
小学校だからと言って中学校で行っている生徒指導などが不必要かと言われると、そうではありません。進路指導などは目立ってないものの、多くの校務分掌は同じです。先ほど計算したもので考えると、小学校と中学校で各学年の学級数が同じ4クラスでも、配置される教員の人数は11人ほど違いますから、教員1人あたりに割り振られる仕事は小学校の方が多くなります。
必然的に学級担任が授業を持たなければならない状況
小学校全24クラスだと配置される教員の数は約28人。つまり、4人を除く教員は担任を持たされることになります。またその配置された教員が必ず正規職員というわけではありません。非正規の常勤講師であったり、時短勤務の方、非常勤講師の方、特別な事情がある方なども配置人数にはカウントされてしまいますから、小学校の教員=ほぼ担任となっています。
学年主任も担任が兼務している場合が多いですし、教務主任と学級担任を兼務しているというパワープレイをしている学校もあるそうです…
小学校の先生は何かと「学級担任」に押し付けたがります。何かあると学級担任です。学級担任1人が児童の全てを把握し指導しなければならない状況を管理職はなんとも思っていない(慣習となっている)ためです。この状況は異常です…
どうして小学校の先生は授業数が多いのか。中学校のように空きコマがない理由。 まとめ
結論としては、『配置できる教員の数が法律で定められていて、小学校は中学校に比べると配置できる教員の人数が少なく、学級数と同程度の教員しか配置することができないことにより、必然的に授業数が多くなり、中学校のように空きコマがない』ということです。
加配の制度がありますが、結局は担任任せの現場では、支援員やサポーターはあくまでサポートなので授業数が1時間でも減るわけではありません。配置できる人数を改正することはなかなか難しいと思いますから、教員の数が増えて仕事が少しでも楽になるという考え方はしないで、自分でできる働き方改革をしていく必要がありますね。
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