個性を生かす教育が求められている
どちらも平成29年度告示の学習指導要領から抜粋した文章です。学習指導要領の中に『個性』という言葉は26箇所もあり,教育に『個性』の尊重の大切かがわかります。
個性の尊重と自分勝手は紙一重
このことからも,『個性』と『自分勝手』は紙一重なことと言えます。例えば,”自分の都合だけを考えて振る舞うこと” が ”自分らしさ” と言うこともできてしまいます。つまり,『個性』と『自分勝手』の境界線ははっきり分けることが困難であり,学校教育においてはそのことを理解して,児童生徒と接していかなくてはならないので非常に大変です。
子供たちは自分のいいように言い換えようとしますからね…
根拠を持って,事実を持って区別しなければならないので,教師の指導力の差が出ます。
ただ,学校教育では『個性』を大切にした指導をしていく必要があります。
では『個性』を生かす指導をしていくためには,どうしていくと良いのでしょうか。
個性を発揮できるのは安心した環境があるから
『個性』である自分らしさを発揮するためには,その自分らしさを発揮してもいいという環境が出来上がっていなければなりません。自分らしさを発揮する時に,周りの人の視線が気になって,なかなか1歩踏み出せない状況になっているのであれば,安心できる環境を作ることが最優先となります。
1つの目安は,学級活動の時にどれだけ意見が言い合えるかだと考えています。 ”自分の意見をきちんと伝え,反対意見もしっかりと出ながら,学級の中できちんと議論できる状況” なのか,”周りの意見に同調するだけで,スムーズになんでも決まってしまう状況” なのかということです。一見後者の方が良い学級経営ができているようですが,議論できないということは,何かしらの同調圧力が生まれてしまっているということです。反対意見を持っている子が言えない空気感があったり,(隠れた) 学級内カーストが強く,従うしかないなどの環境が出来上がっていることを想定した方が良いです。
このようになっている場合,カースト上位の児童生徒などは自分勝手に立ち振る舞い,カースト中位・下位の児童生徒はそれに従うという状況になってしまいます。徐々にこの色が強くなっていくと,陰湿ないじめなどに発展していくことがあります。わたしの体験ですが,自分勝手な児童生徒は,周りで自分よりも目立つようなことをしてくる児童生徒を排除しようとする傾向がありました。
この悪循環を断ち切るためには,『自分勝手』なことをした時に丁寧な指導が必要です。場合によっては叱ることも必要だと考えます。
勝手なことに対しては毅然とした対応が必要
相手をバカにする発言や,個人を攻撃するような言い方をする場合には毅然とした指導が大切です。その小さな指導の積み重ねが,個性を生かすことができる環境を作っていきます。
また,”叱らない指導が良い” としている方もいますが,わたしはそうは思いません。もちろん,なんでもないことで感情をあらわにすることはよくないです。しかし,単に ”叱らない指導が良い” とするのは危険なこともあります。
わたしも普段の生活の中では叱らないように意識しています。ただ,”叱らない指導が良い” かと言われると疑問が残ります。叱る指導も良いとは思いませんが…
例えば,命に関わるような事案(暴力・いじめなど)が発生した場合,強く指導する必要があります。人としてダメなこと(法律に触れるような行為など)に対しては,毅然と叱らなければ,学級という集団を守ることができません。それほど重大な事案を起こしてしまったのですから,当然です。
逆にそう言ったことに対してもきちんと対応できない場合,子供達は先生を乗り越えてこようと試します。学級を安心した場にしたいのであれば,そこは譲ってはなりません。あくまで先生が学級を操縦しているのですから。
自分勝手な児童生徒との関わり方
『自分勝手』な児童生徒には何かしらの背景があることが多いと感じています。家庭環境や周りからの期待などで,本人が非認知的なところなどでストレスを感じていることがあります。誰かを受け入れることができるのは,他の人を受け入れられるだけの器がなければなりませんが,心などが傷ついている人には受け入れられるだけの器はありません。だからこそ,コミュニケーションを積極的に図り,傷を少しでも癒してあげたり,話を聞いてあげたりして,他人を受け入れられる器にしていく必要があります。そのために,とにかくコミュニケーションをとらなくてはなりません。またその方法も担任が話すだけでなく,様々な方法でアプローチしてく必要があります。どれが,その子にとって相応しいのかはやってみなければわかりませんから。
理想は『個性を活かした指導』ですが,現実は『個性を配慮した指導』になっている状況が多いですよね。後者の指導ができるように,もっと考えていかなければ…
では!
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