小学校の音楽の歌唱やリコーダーのテストは,
・ 出席番号順に呼ばれ,教室の前(または音楽室など)で歌う
・ 待っている人は教室で静かに自習
というのが一般的ではないでしょうか。しかし,1人1人テストを行うため,大変時間がかかります。また,教室で行う場合は,児童生徒が「みんなの前で歌いたくない」「恥ずかしい」という気持ちの子もいます。別室で行う場合は,教室で自習をしている児童生徒を見ていることができませんから,学級経営がうまくいっていれば問題ありませんが,子供達だけに任せるということができないこともありますよね。
今年度から今までの音楽のテストの実施方法を見直し,容易に実施できる方法にアップデートしました。その方法やメリット・デメリットを紹介できたらと思います。
今回は,『ロイロノート』を使用します。自治体によっては,ロイロノートではなくミライシードが導入されているところもありますが,同様の取り組みができます。
歌唱テストは一斉に
方法はとても簡単です。
- 教室でCDの音源を流す。
- 児童生徒は自分の席で歌を歌い,タブレットで録音する。
- ロイロノートで録音した音声 or 動画を提出する。
たったこれだけの作業です。他の授業の中でロイロノートを活用している方であれば,「こんな簡単なの!」と思うはずです。
わたしの所属する学年の年配の先生も早速試してみたらしく,良かったと言っていただけました。それに,児童からも好評だったそうです。
リコーダーなどのテストは自由に
リコーダーのテストは,テストの時間に向け,授業の中で練習を重ねることがあります。しかし,授業時数の少ない音楽だからこそ,練習の時間よりも,他のやるべき内容を進めたい気持ちもあります。そこでリコーダーのテストなどの楽器を扱う技能テストに関しては,自由に行うようにすることで,テストの時間だけでなく,児童生徒の自分のタイミングで,納得のいく結果をテストとして評価してもらうことができます。
方法としては,
- テストの締め切り日時を決める(1週間程度がオススメです)
- 「〇〇のリコーダーテスト」などロイロノートに提出ボックスを作っておく。
- 児童生徒は休み時間や自宅で,練習し,提出用の動画を撮影(顔が写るように)する。
- 提出ボックスに動画を提出する。
先ほどの一斉に行う歌唱テストとほとんど同じです。仲の良い友達と互いにテストを行い,その様子を録画するなど,隙間時間をうまく活用する児童もいました。
顔が写るようにするのは,不正がないようにするためです。家で撮影してきた児童だと,その子の顔がしっかり見えて,「こんな顔だったのか!」となることも…(コロナ禍あるあるだと思います…笑)
「期限内ならいつ提出しても良いよ!」とすることで,児童が主体的に活動に取り組む姿が見られます。その姿から価値を見出し,学級に広めると学習環境を作り上げていくことができます。
実施した感想〜子供・教師の立場から〜
今回の音楽をICTでアップデートしたメリットをそれぞれの視点でまとめてみました。
子供の視点
今年度このような取り組みを初めて行なったので,児童に意見を聞いてみました。
- 人前で歌わなくて良かったから安心できた。
- みんなも一緒に歌うから,音程がずれているかの心配がなかった。
- 自分の声を動画で聞くと違って聞こえてびっくりした。
- 緊張せずにリコーダーのテストができた。
教師の視点
また一緒の学年の先生にも意見を聞いてみたところ,
- 一斉にテストができたので,時間の問題が解決できた。
- 自習の時間が生まれなく,授業の進みで心配しなくてすんだ。
- 何度も挑戦している児童の姿を見つけることができた。
- 提出ボックスで何度も見直すことができるので,評価しやすかった。
△ 歌唱のテストは一斉に行うため,歌声が聞き取りにくい場合がある。
△ 一斉にテストの時間を設けないこともできる一方で,テストの時間がなければやろうとしない児童生徒に対しては,個別の支援が必要になる。
まとめ
音楽の歌唱のテストなどは,自分が小中学生の頃とてもプレッシャーがかかりましたし,なにより恥ずかしいという気持ちがとても大きかったことを今でも覚えています。そんなプレッシャーをあえてかける必要があるのでしょうか。人前で一人で歌う経験なんて,よほどの自信がなければしません。
せっかくGIGAスクール構想で一人一台のタブレットが入ってきた今,歌唱テストなどの実施方法についてアップデートが必要なのではないでしょうか。さらに,評価のしやすさも従来とは異なります。動画ですから,いつでも見ることができますし,なにより倍速で見ることができます。1.25倍にするだけでも,30分見るのにかかる動画を24分にすることができます。働き方改革はこういうところからではないでしょうか。さらに,動画として実施した根拠が残るため,保護者に成績のことで説明する際に理解を得やすくなると思います。
今年度の取り組みは,これから当たり前にしていく予定でいます。ICTを活用したことで,多くの人がメリットを感じられる活動になったことは間違いありません。
ぜひ,二学期以降に取り組んでみてはどうでしょうか。
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