通知表は出さなくてもOK(法的に)
文部科学省によると,
児童生徒の学習状況について保護者に対して伝えるもの。法令上の規定や、様式に関して国として例示したものはない。
文部科学省
とのことです。通知表は「出した方が良いだろう」ということから始まり,いまだに「出した方が良いだろう」派の声によって成立している文章なのです。

え!あんなに何度も点検するのに絶対に出さないといけない文書ではないんだ……
仮に ”出さない” という学校があっても学校を咎めることはできません。ただ,公立学校の場合,学校の上司にあたる教育委員会からの指示があれば従わなくてはならないことが多いです。ましてや現場の学校の職員が出向して教育委員会に行きますから,教育委員会として ”通知表は出すように” と指示を出してきますが…
通知表はある所見が大切と語る教員
「所見を見ると,その学期でよく頑張ったことを振り返り,自分のよさを再認識することができるからよい」と通知表を出す価値について語られたことがあります。「自分のよさを再認識することができるからよい」の部分には共感できますが,「通知表の所見の必要はなくないか?」と思ってしまいます。
通知表は点検があり,
①担任作成 → ②学年主任点検 → ③教務主任点検 → ④教頭点検 → ⑤校長点検&印鑑
といった流れで起案していくことが多いですが,①から③までに何度も訂正をもらいます。そしてやっと通過したのに,④でもまた訂正…と続きます。”学校が発行する文章” ということで,とにかく文章を細かくチェックする必要があるため,通知表に書く所見の手間は想像以上にかかります。

学校によっては ”〇〇字以内で書いて” や,短すぎると加筆を求められるなど文字数制限を設けているところもあるので,収めるのに苦労するという話も聞きました。
通知表が必要という意見も理解できる
毎学期の自分の学習を振り返る節目になる
中学校では最終的に3学年の評定が高校入試の際に判断基準の1つとして入ってきます。そのため,生徒が自分自身の学びがどの程度できていて,どの程度の評価がもらえるのかをきちんと把握しておくことは,自分を見つめ直すためにも必要です。それが学期ごとに行えるのであれば,自分の成長を感じながら,そして自分に合った学習方法や授業態度を考えたりする機会になるので,通知表を配付し指導することは,有効な手段だと思います。
保護者が自分の子の成長を見ることができる
親として,なかなか自分の子の授業している様子や学校での過ごし方などを知ることはできません。少しでも知ることができる機会を作るために,学校側は三者懇談や授業参観などをおこなっているくらいですから。ただ,家で学習したり,塾で勉強したりした成果があったのかなど,特に学習面に不安を抱く保護者はとても多い印象です。そんな我が子の学習面の成長を数字で見ることができる通知表は保護者にとって,成長を見ることができる判断材料の1つとして役に立つのです。
紙に書くくらいなら直接認めてあげる方がよい
認めるという指導をする際に大切なポイントは,
⒈ 子供が ”やったこと” をそのまま褒める・認める
⒉ 子供の工夫したことや努力したことを褒める・認める
⒊ 子供の思いをそのまま受け止める
⒋ I メッセージを添えて褒める・認める
⒌ 意図的なタイミングで伝える
ということです。
これらのポイントをおさえるためには,通知表の所見ではあまりにも遅すぎますし,褒めることができる量も減ってしまいますし,指導の幅が狭まってしまいます。”今” を丁寧に指導することで,子供が成長したりする姿を見ることこそが,『教師としてのやりがい』にあたるのは間違いありませんから,そのタイミングを逃してしまうようでは勿体ありません。通知表の所見ばかりに一生懸命になっていては,そのようになってしまいます。

普段であれば,通知表でなくとも学級通信などを活用すればある程度タイムリーな情報を児童生徒にも,そして保護者にも伝えることができますね。
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