教員には休憩時間はない!?またまた違法でブラックな働き方の実態

教育問題

教師の時間外勤務が多いことがよく取り上げられるようになりました。Twitterでは#教師のバトン#先生死ぬかもなどがトレンド入りし,ネットニュースにもなりました。そういった時間外労働のことが多く取り上げられていますが,なかなか取り上げられない問題の1つが ”教員の休憩時間がない” 問題です。今回は違法レベルである ”教員の休憩時間がない” 問題について考えていきたいと思います。

法で定められている休憩時間

休憩時間について

一般に休憩時間に関しては,労働基準法に規定されています。

労働基準法第34条

使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。
使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

使用者は労働者に対して,必ず休憩時間が確保されるようにしなければならないと言うことです。

そして,その休憩時間という時間はこのように定義されています。

労働者が労働から完全に解放されることを保障されている時間のこと

したがって,休憩時間というのは一切労働に関係したことをしなくても良い時間(好きにカフェに行ったり,寝ていても良い)という時間なのです。

教員に認められている特例

教員はその特殊性から,労働基準法に定められている内容に関して,一部教員には適応外となっているものの,労働基準法第34条に関しては,教員にも適応される内容です(地方公務員法第58条)。

また,学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例によって,学校職員の休憩時間について詳細に記述されており,休憩時間に関しては一斉に与えないことができるようになっています。

教員の勤務時間は1日7時間45分であることから,1日45分間の休憩時間は与えないといけないが,その取る時間は職員が一斉に取るのではなく時間を変更して取らせてもよいと言うことです。

あるのすけ
あるのすけ

児童生徒が学校で給食を食べている時間を完全休憩時間にすることは現実的に不可能に近いですもんね。職員が休憩している間誰が面倒を見るのかと言う問題が大きすぎます。

教師の1日

一般的な教師の働いているタイムスケジュールはこのようになっています。

さて,このタイムスケジュールでいうと7:30〜18:00までは生徒がいることが予想されます。したがって,その時間に休憩時間を取ろうとしても取れるはずがありません。つまり,18:00以降に休憩時間をとるような形になりますが,そもそも教員の勤務時間は8:00〜17:00であることが一般的です。休憩時間はその勤務時間内になければならないですから,矛盾が生じます。

そもそも,このタイムスケジュールでは休憩時間の設定がありませんから,労働基準法違反となっているのは明確です。

いつ休憩していることになっているのか

実質的には休憩時間はありませんが,なぜ違法にならないのか(今までピックアップされてこなかったのか)。それは田中まさおさんの判決を見て答えが出たように思えます。どういうことかというと『教師は自主的に休憩時間も業務に従事しているのであって,休憩時間は確保してある』という理屈です。

あるのすけ
あるのすけ

自主的に休憩時間に業務に従事しているわけないでしょ!と思いませんか…??それをさも当然だと思う考え方はさすがに…

実際にどのような休憩の取得パターンがあるのかを中学校教師の1日のスケジュールをもとに考えていきましょう。

給食の時間・放課後に分割して休憩時間に

まずは,給食の時間を休憩として30分間与え,放課後に15分間の休憩を与える場合を考えます。給食の時間を休憩とすることに関しては全く問題ないように思えますが,昨今食育の推進などで,給食指導を求められています。また,多くの学校で給食は学級担任と一緒に食べることや,新型コロナウイル感染症対策のための黙食の徹底などの指導があることを考えると,労働からの完全な解放とは言えず,これは休憩時間に当たらないと言えます。放課後の時間も必要な校務がある場合や,学校管理規則などに部活動が位置付けられており,校務分掌の1つとしてある場合,業務となり得ることを考えると,休憩時間の定義から考えると休憩には当てはまらないと考えられます。

給食の時間・掃除の時間に分割して休憩時間に

先ほどの給食の指導時間と,自分が給食を食べる時間をきっちりと分けた場合,給食の時間で休憩時間が20分間取れたとしましょう。そして,放課後は休憩時間がとれないことを考えると,このスケジュールで取れる場所は,清掃の時間です。つまり,この掃除の時間には先生は職員室にいて睡眠を取っても良いということになります。しかし,その時間の生徒の監督は誰がやるのか問題が発生しますから,現実的に管理職などが表立って「清掃の時間に休憩をとりましょう」と発言することはできないでしょう。

学校服務規定を確認

自分の勤務する学校の休憩時間はどうなっているのか確かめる方法があります。それは,学校ごとに4月1日に配布される服務規定を確認しましょう。〇〇学校服務規定という中に,休憩時間が明記されているはずです。そうでなければ労働基準法違反になってしまいますから。

わたしの勤務する学校の服務規定の中には,『休憩時間は給食時間に与えるものとする』との文言がありました。じゃあ給食の時間は自由なんだと言っても,自由にしようとすると管理職からの圧力がかかります。結局のところ休憩時間はないのです。これは明らかな違法労働です。

まとめ

本来休憩時間は労働者に対してきちんと与えられる権利であり,それを守れない使用者は罰するために労働基準法という法律が制定されています。しかし,学校現場では,労働者として当然の権利すらまともに与えられていない,または与えられていても現実的に行使することができない環境にあります。

変形労働制や時間外勤務の制限(18時になったら一斉退校)など様々な目先の対策ばかりで,教師の働き手の数は減る一方です。今後休憩時間に関して改善される見通しはなさそうだというのがわたしの考えです。

これから教師になりたいという方は,そのあたりもしっかりと考えて採用試験などを受けるようにしたりすると良いですね。

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